
竹内敏喜 『魔のとき』以降
L・Bに倣って 15 (二〇二〇年一一月七日)
──父の急死を知らされた日に
──父の急死を知らされた日に
「好きなようにしたらええ」という声に育てられ…
一、もはや人々は管理とは異なる次元に置かれている
一・一、現行のシステムに馴致しない者は切り捨てられている
一・一一、システムは自己の規律の遵守を目的とするふりをしている
一・一二、規律から逸脱する者を事務的に危険人物と見做していく
一・一三、犯罪者または病人には規律の遵守と損害への賠償が請求される
一・一三一、賠償内容は罰金および監禁まれに死が与えられる
一・一三二、監禁生活は囚人に反省と規律を促すふりをする
一・一三三、罪人はその経験を通して大衆の一人となることが求められる
一・一三三一、大衆は規律を乱さない限りで自由に行動できる
一・一三三二、行動内容は世の保存記録から偶然に選択されたものであろう
一・一三三三、保存記録とは規律の管理者によって編集されたものである
一・二、その保存記録はいかにも善悪観念を止揚している
一・二一、善悪に関する発言は自由だと感じられなくなっている
一・二二、善悪は古い書物に定義されているが現実効果はなくなっている
一・二三、現実として罪人はいるが悪人はいないと流布されている
一・二三一、悪人は規律を真似て大衆の一人として矯正されたふりができる
一・二三二、その人物への施しは罪ある行為を増長すると判断されている
一・二三三、(善の心に満たされてからでないと悪人は反省できない)
一・二三三一、悪人を反省に導けるのはイエスやブッダである
一・二三三二、ゆえにイエスやブッダは善の教えを書き残しはしなかった
一・二三三三、悔い改めた人物は完成しない善の行為を続けるしかなかった
二、いつしかL・Bも人間の声をまったく聞けなくなった
二・一、聞けないことで、現れた「善悪」が風を創造したのだろう
二・一一、その風を聞かないことで管理者は異次元での資産運用を繰り返す
「父」という音の手触りが大気の成り立ちを照らしている…
一、もはや人々は管理とは異なる次元に置かれている
一・一、現行のシステムに馴致しない者は切り捨てられている
一・一一、システムは自己の規律の遵守を目的とするふりをしている
一・一二、規律から逸脱する者を事務的に危険人物と見做していく
一・一三、犯罪者または病人には規律の遵守と損害への賠償が請求される
一・一三一、賠償内容は罰金および監禁まれに死が与えられる
一・一三二、監禁生活は囚人に反省と規律を促すふりをする
一・一三三、罪人はその経験を通して大衆の一人となることが求められる
一・一三三一、大衆は規律を乱さない限りで自由に行動できる
一・一三三二、行動内容は世の保存記録から偶然に選択されたものであろう
一・一三三三、保存記録とは規律の管理者によって編集されたものである
一・二、その保存記録はいかにも善悪観念を止揚している
一・二一、善悪に関する発言は自由だと感じられなくなっている
一・二二、善悪は古い書物に定義されているが現実効果はなくなっている
一・二三、現実として罪人はいるが悪人はいないと流布されている
一・二三一、悪人は規律を真似て大衆の一人として矯正されたふりができる
一・二三二、その人物への施しは罪ある行為を増長すると判断されている
一・二三三、(善の心に満たされてからでないと悪人は反省できない)
一・二三三一、悪人を反省に導けるのはイエスやブッダである
一・二三三二、ゆえにイエスやブッダは善の教えを書き残しはしなかった
一・二三三三、悔い改めた人物は完成しない善の行為を続けるしかなかった
二、いつしかL・Bも人間の声をまったく聞けなくなった
二・一、聞けないことで、現れた「善悪」が風を創造したのだろう
二・一一、その風を聞かないことで管理者は異次元での資産運用を繰り返す
「父」という音の手触りが大気の成り立ちを照らしている…
竹内敏喜(たけうちとしき)

詩人。1972年京都生まれ。詩集に『翰』(彼方社、1997年)、『風を終える』(同、1999年)、『鏡と舞』(詩学社、2001年)、『燦燦』(水仁舎、2004年)、『十六夜のように』(ミッドナイト・プレス、2005年)、『ジャクリーヌの演奏を聴きながら』(水仁舎、2006年)、『任閑録』(同、2008年)、『SCRIPT』(同、2013年)、『灰の巨神』(同、2014年)。